YTSにとっての特別な挑戦

ムーロ山の小屋の所有者が、改良されたコンデンサ付きの容量の大きい蒸留器を試験しているカリマンタンの地域社会開発組織である Yayasan Tambuhak Sinta (YTS)の会長バルドルフ・パウル氏による寄稿
世界はいまもなお財政崩壊の様相を呈しており、2009年は不安に満ちていた。これはヤヤサンに強い影響を与え、我々は初めて積極的かつ確実な資金集めをしなければならなくなった。1年後においても、我々はなお、同じ不安定な状況に置かれている。しかし、我々は不安定に対処する経験を積むうちに、自信を得る処方箋を作るに至った。2010年になって我々は、地域社会との関係から、鉱山業の二件の会社支援を含む、興味深いいくつかの新しい展望を抱くに至った。

 一つの会社は東カリマンタンに拠点があり、もう一つはマルク諸島に拠点がある。我々はまた、カリマンタンにおけるいくつかの「森林炭素」計画に関与する予定である。これについては、我々にとって学習すべきことが多い。

 我々は確かに大きくはない組織だが、根底は強靱であることを認識している。地域社会を基盤にする参加型の計画はそのうちの一つである。しかしそれは、我々の協力者と共に持続可能な結果を作り出すことを目指す広範囲な活動の一部にすぎない。

地域社会レベルでは、目標は、能力育成、能力開発を行い、生活改善を促すことによって、村民の自立性を高めることである。工業界や政府における我々のパートナーにとっての目標は、地域社会をもっと深く理解し、また相互にもっと深く理解しあって協力し、もっと効果的に行えるメカニズムを作り出すことである。

 2010年に我々は、最終的に全地域を被うことになるグナン・マス地方において、我々の地域社会開発活動が拡大しはじめる希望を抱いている。我々は、その地方の政府との協力体制を築く計画を持っており、それがその地方の142の地域社会すべてへと関与を広げる活動的な役割をはたすことになるであろう。そして、地域社会に大学が関与するのを促進するであろう。

10月の間中、YTSはパランカ・ラヤ大学農学部の社会経済学専攻学科への支援を行った。その専攻学科は、村の経済活動を改善するための研究や実験や学習の基盤としてこの計画を実施すべく、大学と連携する野外研究所の設置を望んだ。

YTSは、トゥワン村に適切な場所を見いだすことを支援し、直接村民と共に働く行動研究過程を通して、家庭及び地域社会の経済的発展に関与する問題を実地調査する大学教師と学生たちを援助した。

専攻学科が村民と関わるべく現地に向かう前に、YTSはアジアにおける参加の方法と研究方法の歴史的概要を示す大学のセミナーを企画し、専攻学科が地方の社会と協働する仕事に、いかにして携わるべきかを説明した。

二日間以上村に滞在している間にYTSのスタッフは、土地及び資源の利用分析、過去数年間にわたる家政の変化、過去数年間における漁業や農業やほかの生産活動における男女の季節的な関与、そして貧富のさまざまなレベルにおける収入と支出に関する詳細な分析、といった技術を紹介した。

この分析から村民は、魚の養殖、野菜の栽培、家畜の養育、そしてゴム栽培などの改善といった、彼らが支援を必要とする課題が明確になった。もしこれらの課題が適切に果たされるならば、それによって生産性と家計に大きな刺激を与えることは容易であろう。

ブラックスミス計画
YTSが関与してきた課題の一つに、採鉱過程で使用されてきた水銀による汚染問題がある。

2009年末までさかのぼるが、我々が取り組んできた第二の計画に、中央カリマンタンにおける小規模採鉱での水銀汚染に関するものがある。この問題には多様な次元と多様な方策がある。我々の資源は限られているので、我々は排出を減少させるために直接介入する計画を選んだ。

まず最初に我々は、プルク・カフ近隣を流れるバリト川上流で水銀流出の大きな源の範囲を確定した。それから我々は、この場所における小規模採鉱がこの分野での全体の水銀流出の5%を占めていることをつかんだ。

第二に我々は、短期間で最大限の効果を得られるように、従来からの蒸留技術の改善に焦点を当てることにした。我々は、採掘した岩から金や銀を取り出すために莫大な量の水銀を使用する過程において、もっと効率よくできるように改良した。

第三に我々は、問題の規模について、政府と鉱業会社の双方に、現在の業務を変える必要性と、適切な技術の使用を介在させるためのいくつかの可能な方法を訴えた。

幸せなことに我々は、小型で、高性能で、錆を生じない蒸留器を低価格で得ることができた。蒸留器は採鉱では一般的であるが、それらと同じ蒸留器ではなく、一つの角(すみ)に穴を開けたビスケット状のものの中でアマルガム(水銀とほかの金属との合金)を燃やす方式を採用している。これは村民たちによる解決策である。

とはいえ、ムーロ山における問題の大きさは違う規模での運用を可能とする技術的な解決を必要とした。かなりの大きさの蒸留器の求めが採鉱から繰り返され、30キログラムに及ぶアマルガムを一度に燃焼させる性能の装置の設計や構築や試験を強いられた。

実地研究を通して我々は、これらの作業の原型をいくつか現地に導入することができた。鋼鉄で作られた容量の大きい蒸留器は、費用がかさまず、かつ高性能である。そしてこれらの容量の大きい蒸留器は現在、大きな利益をもたらしている。

健康上の利益はといえば、村人たちは大気中の排出が低く抑えられた中で生活し得ている。

環境上の利益については、従来の蒸留器を新しい蒸留器に代えたことで、出るガスの量を80%押さえることができた。それぞれの新しい蒸留器は、もしきちんと使われるならば、年間の水銀流出を1,000kg 以上削減させることができる。

社会的・経済的利益については、消費される水銀にかかる経費が高いのに甘んじていた小規模な採鉱所において、リサイクルの改良を進めたことで、多額な費用を節約できるようになった。ある採鉱グループは、新しい蒸留器を使用することによって収入を3倍にすることができたと報告している。

現在、38個の小型蒸留器と6個の大型蒸留器と、7個の水性コンデンサー(気体から液体への凝縮器)が配置されており、この計画が推進されることで、3トン以上の水銀が再利用されると予想できる。何もしなければこの水銀は大気中に放出されるものである。

説明するまでもなく、水銀汚染は早急に解決できる問題ではないが、しかし、我々の2009年からの計画の成功が、すでに二か所の国際組織によって認知されている。詳細は以下を参照のこと: www.worstpolluted.org

この記事は、Kabar Itah #23 から得られたものである。Kabar Itah は、Yayasan Tambuhak Sinta (YTS)の季刊誌で、採鉱会社のカリマンタン・スリャ・ケンカナ(KSK)と提携している。Eメールアドレス: このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください www.tambuhaksinta.com

2010年4月発行スブド ボイスより

最終更新 ( 2010年 8月 01日(日曜日) 18:54 )  

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